BL

 Blast resistance Lines(いもち病抵抗性系統)の略。特定の品種に「連続戻し交配」で、いもち病抵抗性遺伝子を導入した品種のこと。GM(遺伝子組み換え)にはあたらない。
 例えばコシヒカリの場合、従来コシヒカリとコシヒカリBLとの間には、いもち病抵抗性遺伝子の差異があるだけで、外観・食味などの違いは生じないはず。この外観上は目視で違いが判別できないことから、農産物検査法上は同一品種扱いだが、品種としては全くの別物。DNA鑑定すれば全くの別品種であることが判明することから、例えば種苗法上は別品種として登録されている。
 最初にBL品種を世に出したのは宮城県。ササニシキBLを「ささろまん」のブランド名で販売したが、端的に言ってヒットはしなかった。次に出たのが新潟県のコシヒカリBLで、こちらは「コシヒカリ」として販売している。
 一口にいもち病抵抗性といっても、その遺伝子系統は複数あるため、コシヒカリ新潟BLの場合、現在までに「コシヒカリ新潟BL1号」から「コシヒカリ新潟BL13号」までの複数の品種を、毎年組み合わせ・比率を変えて作付する(マルチラインと呼ばれる)ことで、いもち病側の耐性進化を防いでいる。この組み合わせたものをコシヒカリIL(Isogenic Line)と呼ぶ。
 新潟の場合、従来コシヒカリからコシヒカリBLへの作付転換を短期間で一挙に進め、公式見解では県内作付面積の90%以上がBLに切り替わっていることになっている。この「外観上は従来コシと区別がつかないが、DNA鑑定すれば違いがハッキリ出る」特性に注目、コシヒカリ新潟BLを作付けているのが新潟県内の生産者に限られることから、末端商品でもDNA鑑定すればBLかそうでないかによって新潟産コシヒカリかそうでないかを判別できるため、(新潟に限った話ながら)不正表示(産地偽装)対策としても有効と考えられている。ところが生産者や流通業者の間では「従来コシよりBLは食味が劣る」との主張も根強く、むしろ従来コシヒカリを作付ける生産者も未だ数多い。
 その後、同じようなBLを使ったマルチラインとして、宮城のササニシキBL、富山のコシヒカリ富山BL、福岡のにこまるBLが登場している。

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