◇ アイリスが佐賀・鳥栖工場でパックごはん生産開始、大山社長「売上高260億円めざす」
2024/7/10/ 12:00
アイリスオーヤマ㈱(宮城県仙台市、大山健太郎会長、大山晃弘社長)は7月9日、佐賀の鳥栖工場でパックごはんと炭酸水の生産を開始した。同日開いた記者発表会で大山社長は、パックごはんの売上高を、令和6年(2024)が125億円の見込みに対し、「令和12年(2030)には260億円をめざす」と力を込めて語った。
アイリスオーヤマは、平成23年(2011)の東日本大地震以降、被災地支援と農業振興を目的に、精米・パックごはん事業に参入。令和6年の売上高予想は125億円と、急成長を続けている。
鳥栖工場はこれまで、プラスチック製品やLED照明の生産拠点だったものの、昨今のパックごはんの需要拡大を受けて、工場の資材置き場などを改修、精米・パックごはんの生産設備を新設した。日産10万食。今後、鳥栖工場で稼働する2ライン目と、既存の宮城・角田工場(5ライン、日産100万食)を加えると、日産およそ140万食となる見込みだ。
大山社長は、パックごはん需要拡大の要因として「共稼ぎ」「個食」の増加をあげ、「伸びている市場を捉えるため」に生産を増強したと強調。鳥栖工場に新設した理由に、「工場に空きスペースがあったことで、新たに工場を建設する必要がない」こと、ASEAN(東南アジア諸国連合)に近いことから「その需要を取り込めるのではないか」と、アジア圏への輸出拠点としての役割が期待できることをあげた。アイリスオーヤマでは、食品の輸出拡大にも力を入れており、パックごはんの輸出額は、令和6年が3億円、令和12年には30億円を見込んでいる。
鳥栖工場で生産するメリットは他にもある。鳥栖工場では、パックごはんのトレーの加工製造も行っている。外装フィルムは現在、福島・南相馬工場で製造しているものの、今後は「鳥栖工場でも製造する」とし、原料米以外を自社生産することで、効率化、低コスト化を実現する。
原料米は、佐賀産や香川産など、主に九州・四国エリアを使用する。当面は、ブレンド米(佐賀夢しずく、熊本ヒノヒカリ、熊本森のくまさん、福岡夢つくしなど)がメインとなるものの、今後、ヒノヒカリのみを使った「ご当地パックごはん」の展開も検討していく。令和6年産米の調達について大山社長は、「地元の生産者との契約を進めて安定的な調達をめざしていく。だか、今年も高温が続いているので、一等米をどこまで調達できるのかが心配。今後は高温耐性品種の作付に力を入れていきたい」と述べた。
また大山社長は、パックごはんの生産増強が食料安全保障にも寄与すると語る。食料安全保障には、まず国内消費の拡大が重要だとしたうえで、「この鳥栖工場が国内消費のカンフル剤となり、輸出拡大にもつなげていく。需要が増えれば、その分、生産者の利益になる。頑張っていきたい」とした。来賓の北林英一郎九州農政局長は、「海外の需要も取り込んだ形で生産を行うことは、不測時に対応する供給基盤、農地や農業の生産活動を確立する観点からも重要だ」と挨拶している。
【鳥栖工場概要】
住所:佐賀県鳥栖市西新町1375-26
竣工:平成2年(1990)4月
品目:プラスチック製品・LED照明、精米・パックごはん・飲料水
敷地面積:15万9,751㎡
延床面積:11万2,753㎡
自動倉庫パレット数:6万4,816枚
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