◇ 令和5年の高機能包装材料市場は▲6.9%の72万t強、矢野経済調べ

 ㈱矢野経済研究所(東京都中野区、水越孝社長)は7月23日、国内の高機能包装材料市場の調査結果を公表した。それによると、令和5年(2023)の市場規模は、国内出荷・輸出量を合わせて、前年比▲6.9%の72万3,440tだった。矢野経済研究所は、「コロナ禍の巣ごもり特需からの反動減に加え、商品値上げによる買い控えから家庭用(市販用)食品の包装材料需要は減少した」と分析。このほか、「コンビニや食品スーパーでの過剰在庫削減や、値引き販売による食品ロス削減の取組みが進められた」ことも一因になったと指摘している。

 内訳は、基材フィルム32万380t(前年比▲9.0%)、バリアフィルム7万960t(▲6.9%)、シーラントフィルム29万9,570t(▲5.3%)、ラベル用シュリンクフィルム3万2,530t(▲0.2%)。
 令和6年(2024)の市場規模は、「多くの包装材料メーカーで需要回復を見込む」ほか、「在庫の適正化や内食への回帰による食品の包装材料の需要増など」があり、前年比+3.5%の74万9,000tと「回復途上」となる見込み。

【将来展望】
 ○ 人口減少を背景に国内の包装材料需要は縮小傾向が続くほか、海外包装材料メーカーの技術力向上や世界的な供給過剰、価格競争などから国内包装材料メーカーの包装用フィルム汎用品も競争力を失いつつあり、国内包装材料メーカーを取り巻く事業環境は厳しさを増しつつある。
 ○ 一方で、グローバル市場における環境配慮型製品へのニーズや、ASEAN市場におけるレトルト食品用パウチ包装などの高いバリア性を求めるニーズは顕在化しており、成長領域も少なくない。
 ○ 環境問題が注目を集めだした当初は、プラスチックの存在自体が “悪”とされ、過剰なまでの脱プラスチックが進められてきたが、近年では使い勝手の良さやコスト、リサイクル適性などその有用性が再認識されている。プラスチックのサーキュラーエコノミー(循環型経済)を前提としたスキーム構築や容器包装設計が、包装材料メーカーに求められるようになるなど、風向きは変わりつつある。
 ○ 包装材料メーカーは、コロナ禍の行動制限緩和で本格的な営業活動が行えるようになった。さらに、原材料価格の値上げに一巡感が見られたことで、ブランドオーナー(食品メーカーやコンビニ、食品スーパーなど)は包装材料の環境設計に関する優先度を見直しつつある。特にサステナビリティ目標の節目にあたる令和7年(2025)が目前に迫っており、ブランドオーナーでの環境配慮型製品の本格採用に向けた取り組みが活発化する見通しである。
 ○ このような市場の変化に対応すべく、包装材料メーカーにおいては自社の事業ポートフォリオの変革が求められると考える。

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