◇ 第1回「先物取引情報交換会」で堂島が「活用のポイント」指摘

 (一財)農政調査委員会(吉田俊幸理事長=高崎経済大学名誉教授)は8月19日、都内で、第1回『「米先物取引」に関する情報交換会』を開いた。このなかで㈱堂島取引所が、8月13日から取引が始まったばかりの堂島コメ平均(米穀指数先物)に触れ、活用する際のポイントを指摘した。

 取引開始から、この日も含めてわずか5営業日。翌日にマーケットメイカー導入を控えていることもあり、出来高が伸びないのは当然と言えば当然なのだが、それでも「奮わない」と指摘せざるを得ない。

 情報交換会のなかで堂島取引所は、基準数値(出し値)に触れ、「この間の現物スポット相場の高騰ぶりを見ていると、『15,240円』という出し値は、いかにも安いのだが、明確な根拠を伴った数値が現段階ではどこにも見当たらない以上、これを採用せざるを得なかった。ただ、従来『2%』を適用する制限数値(値幅制限)に、初日のみ業務規程に明記されている『15%』を採用し、流動性を高めた。その結果、さすがに初日からいきなりストップ高となることはなかったものの、それに近い跳ね上がり方をした」と指摘。「明日からマーケットメイカーが入るので、今後に期待したい」としている。

 ここまでの短い期間のなかで、堂島に寄せられた声をもとにまとめた「活用する際のポイント」概要は以下の通り。
①取引対象は何なのかを常に意識する……米穀指数市場の取引対象となっているのは、平均米価(愛称:堂島コメ平均)と呼ばれる指数値。農林水産省が毎月公表する相対価格の全銘柄加重平均をもとに、その変化率や米穀機構DIをかけ合わせて推計したもので、スポット価格とは全く別なもの。したがって米穀指数先物は、あくまで来年2月、4月、6月に決裁記事いつが到来した際の全銘柄平均を示すものである点に留意が必要。
②相場はうねりを伴いながら上下していく……公正で開かれた市場であっても、価格形成過程において取引参加者の期待感や失望感が過度に集中すると注文が偏ってしまい、結果として行き過ぎだったと思われる局面は少なからず存在する。結局、その行き過ぎた価格は是正され、大多数の取引参加者から見て正しいと思われる方向に収斂していくので、安定した先物価格の形成を通じて現物価格指標として活用することが期待できる。
③まずは指標価格として活用し、堂島コメ平均と各品種銘柄の個別価格との間に存在する価格差を正しく認識する……堂島コメ平均の指数値から全国各地の品種銘柄の個別価格を推測し、価格差を認識する。この価格差は年度や時期によって変動することはあるが、調査を行っていると概ね一定程度の差が存在する場合があることに気づくはず。
④ヘッジ取引を行う際、「先物の損失=現物の利益」と割り切って考える……もともと保有する(予定の)現物が、予期せぬ価格変動により損失を被ることを回避するため、ヘッジ取引を行うもの。ヘッジ取引で損が出るということは、現物が想定通りの価格推移で利が乗っていることに等しく、相殺すれば大きな損失にはならないので、決して一喜一憂せず、現物の損失に備えるためのヘッジ取引であることを忘れないことが大切。
⑤商先業者にも色々タイプがある……現在、米穀指数市場の取引が可能な商品先物取引業者は4社。営業マンのアドバイスを受けながら取引ができる対面取引と、マイペースな取引が可能なネット取引のどちらを選択するかで、口座開設の申込先が変わってくるので、注意を。
△対面取引、ネット取引併用……岡安商事㈱、㈱コムテックス
△ネット取引専業……㈱SBI証券、北辰物産㈱

〈続〉

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