◇ 坂本農相、政府米放出を改めて否定

 「政府米の放出は、慎重に考えつつ対応するのが最も適切と考えている」。坂本哲志農相が8月30日の閣議後定例会見でこう述べ、改めて政府米放出の可能性を否定した。

 ――8月27日(の『食料安定供給・農林水産業基盤強化本部』第8回会合で)、(岸田文雄)総理から、米の品薄に対応するようご指示があったかと思うが。

 ご指示があった。このため同日、関係団体(全農、全集連、全米販)に対し、「端境期における主食用米の円滑な流通」を要請したところだ。

 ――小売の団体からは、政府の対応が遅いとの苦言があがっている。

 これまでも説明してきたように、全体の需給として在庫は確保されている。政府備蓄米の放出の声があるのも承知しているが、需給や価格に影響を与える恐れがあることから、慎重に考えつつ対応すべきだと考えている。民間流通に影響を与えることは避けるべきだ。遅きに失したと思っていない。

 ――大阪の吉村(洋文)府知事からは、重ねて政府米を放出して欲しい旨の声があがっているが。

 国の備蓄は、前年産の不作など、あくまで年間を通じた生産量の減少に備えたもの。府知事の声は、それはそれとして受け止めるが、慎重に考えつつ対応するのが最も適切と考えている。

 ――それは、現状を「不足」とは捉えていないということか。

 南海トラフ地震臨時情報などを機に起こった買い込み需要によって、短期的な品薄になっているのは承知している。しかし、あくまで短期的なのであって、年間を通じた不足にはあたらないため、(政府米の放出は)慎重に考えるべきだと申し上げている。

 ――価格については?

 通常の価格で取引して欲しいと思っている。

 ――しかし、小売や量販店の棚がカラになっているのは事実。これは農水省が推し進めようとしている食料安全保障という政策を転換することに繋がるのか。

 それはない。今回は、様々な要因が重なった結果だ。まずは卸の方々に協力を求め、小売にも理解を求める。また再三申し上げているように、消費者の方々にも冷静な購買行動をお願いしたい。

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