◇ 種苗法違反で警視庁が12人検挙、農研機構開発品種の苗を無断販売

 警視庁は12月3日、種苗法違反などの疑いで計12人を検挙したと発表した。育成権者である農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)の許諾を得ずに増殖し、フリマサイトで販売した疑い。農林水産省と農研機構は同日、当該行為は「正規の許諾先や生産者に不利益をもたらすだけでなく、我が国の優良品種の海外流出リスクを高める。また、管理不十分な種苗が出回ることは、品種のブランドの価値低下や病虫害の拡大など、我が国農業全体に悪影響を及ぼす」と指摘した上で、「フリマサイトの監視や、違法が疑われる出品の現物調査など、フリマサイトにおける育成者権の侵害に厳しく対応しているところであり、引き続き警察とも連携して対応していく」とコメントしている。
 警視庁生活安全部生活環境課の公表によると、静岡県焼津市の無職の男(25歳)と岐阜県養老郡の会社員の男(64歳)の2人を通常逮捕、以下の10人を東京地検に書類送致した。
・愛知県稲沢市の農家の女(52歳)
・茨城県水戸市の会社員の女(52歳)
・秋田県秋田市の無職の男(67歳)
・愛知県安城市の会社役員の男(46歳)
・愛媛県松山市の無職の女(45歳)
・新潟県上越市の会社員の女(68歳)
・愛知県名古屋市の自営業の女(51歳)
・愛知県名古屋市の無職の女(24歳)
・静岡県焼津市の農家の男(70歳)
・静岡県牧之原市の無職の女(66歳)
 同じく公表によると、容疑は、農研機構が育成したイチゴ品種「桃薫」(とうくん)の苗を増殖して販売したことによる育成者権侵害(種苗法違反)。ほかに一部で、増殖のため無断で農地を貸借したことによる農地法違反も。
 この場合の種苗法違反は「10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金、又はその両方」が科せられる。また育成者権者から損害賠償や不当利得返還請求、侵害物の廃棄の請求、業務上の信用を回復するのに必要な謝罪広告の掲載など、民事上の請求を受ける可能性もある。さらに無断増殖された種苗を購入し、利用した者も民事上の請求を受ける可能性がある。

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