◇ 米粉ピンサを実演アピール、ジョヴァンニ氏「米粉は生地の水分を保つのに役立つ」

 2月6日に㈱ぐるなび(東京都千代田区、杉原章郎社長)が開いた「米粉カンファレンス2025-春-」の続報。壇上では、カパンネリ・ジョヴァンニ氏(Di Marco Japan㈱代表、代官山Bonta Italiaオーナー)による「ピンサ」の実演調理が行われた。

 普段、店舗で提供しているピンサには、小麦粉・大豆粉・米粉をミックスしたものを使用している。ジョヴァンニ氏は「米粉は生地の水分を保つのに役立つことから、冷めても硬くなりにくく、打ち粉にも使うことでオーブンで焼いた際に表面がカリカリになる」と米粉を使うメリットを紹介した。また、ピンサは通常、72時間ほど生地を寝かしたのち、常温で3時間ほど再発酵させる必要があるが、ジョヴァンニ氏は「冷凍」することで、店舗では素早く提供できるようにしているという。イタリアでは甘いものをトッピングして、デザートのような食べ方などで幅広く親しまれており、欧米ではピザカテゴリのうち10%ほどを占めている。ジョヴァンニ氏は「日本でも認知度を上げていくため、国産素材を使った和風ピンサも計画している」と期待を込めて語った。
 同じく登壇した葛原祐介氏(農林水産省農産局穀物課米麦流通加工対策室長)は、数年前に料理評論家の故 服部幸應氏からピンサを紹介してもらったエピソードを披露。「私自身、ピンサのファンだったので、今回のトレンド米粉グルメへの選出はとても嬉しい」と語った。
 このほか、小林健司氏(米粉タイムズ エグゼクティブプロデューサー)は、「触感がサクサクで後味も軽いので、いろんな食べ方が楽しめるのではないか」と評価。高橋ヒロ氏(料理家・米粉専門家)も「この味なら日本で受けいれられるのは間違いない」と太鼓判を押した。

会場でピンサの生地を見せながら説明するジョヴァンニ氏(右)と店舗スタッフのダリオ氏(左)
焼きたてのピンサを頬張る葛原氏

 その後、登壇者の一部を代えてトークセッションを展開。「米粉の利用拡大の可能性、米粉の新たなステージへ」をテーマに、高橋ヒロ氏、村井智健氏(AppBank創業者、Youtuberマックスむらい)、島森萌氏(㈱クリエイティブオフィスキュー)の3名が登壇した。

 島森氏のクリエイティブオフィスキューは、俳優・大泉洋さんらが所属する芸能事務所だが、食に関するコンテンツも幅広く手掛けている。その一つが、道産米100%の米麺専門店「rice noodle comen」だ。令和4年(2022)、コロナ禍で外食事業に余剰米が発生したのをきっかけに創業。原料米には、道産ゆめぴりかを採用しており、他の品種に比べて、「もちもちした触感でベトナムのフォーとは違った触感が楽しめる」のが特徴と語る。また米麺以外にも、白身をエスプーマにした卵かけご飯や、季節ごとに使用食材を代える限定商品を提供。島森氏は、「(弊社の)伊藤亜由美社長が北海道の食の魅力発信に力を入れているので、社員も常日頃から盛り上げていきたい気持ちがある」と強調した。高橋氏から「仕入れコスト」について訊かれると、「米粉は現状品質にブレがあるのが少し難点。商品開発を小まめに行うことで、旬の食材を季節性の価格で提供できるようにしている。今日は様々な情報を持ち帰って、また社員とディスカッションしていきたい」と述べた。

 村井氏が展開する、どら焼き専門店「YURINAN -ゆうりんあん-」は、東京・原宿竹下通りと鎌倉に店舗を構えている。村井氏がエンタメ界出身でもあることから、様々なキャラクターIPを活用したコラボレーション商品の比重が高く、今年も既に100を超えるコラボを計画しているという。商品のどら焼きは、紙に包んで手渡すハンバーガースタイルで提供するため、土産用の持帰り形式ほどは売れないものの、それでも昨年は15万食を売り上げた。来店者のうち7割が外国人観光客。これもあって昨今は、「この商品はグルテンフリーではないのか」という問い合わせが非常に多く、これに対応するためにも米粉を使ったどら焼きの開発・提供を開始した。村井氏は、米粉は輸出を考えた際にも「日本の食材としての強み」があるとし、「ネット販売をするにも有効だ」と指摘する。高橋氏は、「米粉業界の人間は視野が狭くなりがちだが、お二方は異業種から違う視野でそれぞれの強みを生かして参入され、これほどフットワーク軽く取り組めているのは素晴らしい。米粉を主に置いているのではなく、強み×米粉という形態は業界に新しい風が吹いている」とエールを送った。

左から島森氏村井氏
試食として提供されたピンサ

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