◇ 全米販・取引実態調査、不公正取引4年ぶりの悪化

 全米販(全国米穀販売事業共済協同組合、山﨑元裕理事長)はこのほど、18回目となる令和5年度(2023)「取引実態調査」結果を公表した。それによると、「販売先の不公正と思われる取引」が「存在する」との回答割合は4年ぶりに増加、つまり「悪化」した。

 調査結果によると、「販売先の不公正と思われる取引」が「存在する」との回答割合は、前回調査比+1.5ポイントの3.9%となった。令和元年(2019)以来、4年ぶりの悪化となる。
 これを販売先の行為類型別に見ると、前年トップだった「返品」は+3.7ポイントの8.2%と、さらに悪化し、またもトップとなった。「購入・利用強制」4.1%(+0.3ポイント)、「協賛金等の負担の要請」3.3%(+1.1ポイント)、「従業員等の派遣の要請」5.1%(+3.5ポイント)、「不利益となる取引条件の設定等」2.5%(+0.5ポイント)と、軒並み悪化している。
 全般的な悪化の傾向は、コロナ禍前に戻ったかのような印象を与える。
 販売先別に見ると、前年トップだった「中小食品スーパー」が▲0.1ポイントの7.7%と良化したものの、代わって「大手食品スーパー」9.7%(+6.8ポイント)が台頭。また一昨年トップだった「ドラッグストア」も7.6%(+2.6ポイント)と、再び盛り返してきている。

 これに関連し、いわゆる「不当廉売」のうち、「取引先(継続して取引する相手方)に存在する」と回答したのは0.8%(+0.4ポイント)と悪化。他方、「同業他社に存在する」と回答したのは5.8%(▲2.5ポイント)と前年に続き良化した。
 また、「仕入先の不公正と思われる取引」が「存在する」との回答割合も、+6.1ポイントの8.4%と、4年ぶりに悪化している。

 調査は、公正取引委員会「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」・「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」に基づく設問を設定し、組合員卸に訊いたもの。組合員141卸(前年度143卸)を対象に昨年7月、調査票郵送・回収方式で実施。有効回答数は86卸(同101卸)で、回収率は61.0%(同70.6%)。全米販はこの調査結果を公取委と農水省に報告したほか、日本チェーンストア協会や日本スーパーマーケット協会などの全国団体に報告、是正を要請している。

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