◇ 2024年の農業景況感は5年ぶりプラス圏、稲作経営大きく改善
2025/3/18/ 15:30
日本公庫(㈱日本政策金融公庫)は3月18日、農業景況調査(DI)の結果を公表した。今年1月に融資先の担い手生産者6,889から回答を得たもので、うち稲作は北海道681/都府県1,709の計2,390経営体。なお、このDIは良否判断の分岐点が「0」になる。
景況・収支DIは大幅改善
農業経営の良し悪しを判断する景況DIは2024年に大きく改善し、過去4年間潜ってきたマイナス圏から浮上する10.5(前年比+37.4pt)。特に稲作の改善は著しく、北海道は▲49.3→64.8(+114.1pt)、都府県も▲22.1→50.8(+72.9pt)となった。一方、2025年見通しは悪化するとの見方が強いが、それでも農業全体と稲作はプラス圏を維持する予測だ。
こうした大幅改善は収支DIでも同様に確認できる。
(以下、表中の赤枠は元資料での説明に関するもので、本記事とはリンクしない)


稲作は資金繰りDIも大きく良化
稲作の資金繰りDIは過去10年で最も高い数値を示し、他品目を圧倒している(=前年より資金繰りが楽になった)。
また米価高騰を受けて、販売単価DIは米価が高騰した東日本大震災翌年の2012年(DI40台)を大きく上回る北海道85.9/都府県89.1まで上昇した。

生産コスト・雇用状況DIは改善の兆し見えず
一方、稲作の生産コストDIは10pt前後改善したものの、依然として▲70台まで沈んでいる。また、稲作の雇用状況DIは北海道がマイナス圏(▲38.5)で横ばい、都府県に至っては▲37.5→▲41.8まで悪化した(=人手不足)。

設備投資意欲は過去10年で最高
2025年に設備投資の予定があると答えた割合は、農業全体で48.9%→52.0%(+3.1pt)へと上昇し、稲作は過去10年で最高の北海道57.5%/都府県64.6%を記録。約半数が「設備投資額は昨年より増加する」と回答している。
なお、2024年に設備投資を行った稲作経営体は80%を超えており、その内容を見ると「効率化投資(能力アップ、省力化など)」「更新投資(同等のものへの買い替え)」に取り組む割合が高い。この傾向は2025年でも続く見通しだ。

