◇〝消えた米〟の正体は「流通ルートの多様化」と「先行き不透明感でみんなが少しずつ在庫を積み増した」説=農水省調査

 農林水産省は3月31日、生産者と小規模集荷・卸売業者を対象にした在庫調査の結果を初めて公表した(関連記事)

1.どういう調査?

 毎月公表している在庫などの調査は生産者が対象外で、集荷業者も年取扱量500t以上/卸売業者は年4,000t以上が対象となっている。しかし、「流通の大宗を占めている集荷業者に米が集まっていない」と言われるなか、「〝消えた米〟がどこに行ったのか」「〝目詰まり〟はどこで発生しているのか」を明らかにすべく、従来は調査対象外である領域の在庫などを把握するのが今回の調査の目的だ(数字は1月末時点)。

2.従来の生産→集荷ルートは▲31万t/それ以外+44万t

 まず、生産者調査は都道府県ごとに5~10の大規模生産者(計641者)からヒアリングし、別の統計データをもとに生産者全体の在庫量を推計した。その結果、JA系統など従来の流通を担ってきた集荷業者への出荷数量は前年同期差▲31万t(9.4%)まで激減した一方、生産者の直接販売を含めたそれ以外のルートは+44万t(23.1%)と大幅に増加していたことが分かった。これらを足し引きすると、生産者の出荷数量は全体で+13.7万t(2.6%)となる。
 また、自家消費や無償譲渡(縁故米)は▲5万t(10.4%)の一方、1月末時点の生産者在庫は+9万t(10.2%)に相当する101.7万tと推計。これに関しては、従来の出荷先以外との契約増に伴い、生産者が紐付き玉を在庫していることが増加の要因の一つとなっている模様だ。

 次に、従来調査の対象外である年取扱量500~4,000t以上の卸売業者(382者)の1月末在庫は+1,526t(1.0%)、300t以上の集荷・卸売業者(643者=明確に集荷や卸とは区分できない中間流通業者)の在庫は▲7,482t(14.2%)と判明した。

3.在庫は主要な集荷業者▲49万t/それ以外23万t

 こうした結果を前年からの増減値に着目して俯瞰したのがだ(1月末時点の数字)。これを流れ(フロー)として見ると、6年産の生産量は+18万t、生産者の出荷量も+14万t程度となったが、従来の出荷先である集荷業者には▲31万tしか行かず、代わってそれ以外の流通先(直接販売含む)に+44万tの米が供給されたと推測。図だけですべての±を説明できるわけではないが、縁故米など▲5万tも+44万tの一部となった可能性がある。

 一方、これを在庫(ストック)から見ると、集荷段階(取扱量500t以上)の在庫は▲49万tと激減した反面、生産者在庫は+9万t、卸段階は+4万t(取扱量4,000t以上)/+0.2万t(取扱量500~4,000t)、小規模集荷・卸(取扱量300~500tの中間流通)は▲1万t。さらに米穀機構の消費動向調査から推計した消費者在庫は+4万tとなる。
 前述の生産者の出荷量+14万tからこれらの在庫を差し引くことで導き出した実需者(小売・中食・外食など)の推計在庫は+7万tとなる。

4.江藤農相「先回りして在庫を積み上げていった結果ではないか」

 この結果について、同日に臨時会見を開いた江藤拓農相は、「生産~実需という各段階の関係者が先々を心配して、この秋まで必要だろうという量を確保しようという動きをし、少しずつ先回りして在庫を積み上げていった結果ではないか」と推測した。

5.農水省「不安感ふくらみ必要量以上にモノを押さえる動きに」

 また、会見後に武田裕紀企画課長は「先行き不透明感の原因」について以下の通り語った(要旨)。
「まず最初は昨夏の米の品薄だろう。しかし、その後の新米(6年産)は作付面積も多いし、高温・渇水の影響も5年産より軽減された。本来は新米が出回れば不安感が落ち着くはずだが、集荷競争が起きた。これは『集荷業者への出荷』の『▲31万t』『▲23万t』に表れている」
「川中以降のプレイヤーからすると、普通は定例的に取引している集荷業者にオーダーするものだが、8月のショックや集荷不振を背景にオーダーが満たされない。それで他のところにオーダーせざるを得ず、モノが来るか分からないという不安感が足し算的、乗数的に膨らんでいき、必要量以上にモノを押さえる動きが広がる」

 一方、記者から「目詰まりではなく流通ルートの多様化では?」と訊かれると、「多様化したルートで〝流れている〟のであれば、今のような価格動向や、これくらいの規模感での偏差にはならないだろう。確かに徐々に多様化していく中での流れだか、今回まとまった量が従来とは別のルートにシフトした。従来のチャネルで仕入していた人からすると従来の仕入ルートが詰まっているわけであり、分散することで欲しい人のところに行っていないアンマッチが生じている。我々はこれを〝目詰まり〟と表現している」と説明した。

ごはん彩々

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