木徳神糧、米価高騰めぐる流言を完全否定「価格釣り上げの事実は一切ない」
2025/6/11/ 12:15
木徳神糧㈱（鎌田慶彦社長）は6月11日、「ステークホルダーの皆さまへ」と題する声明文を鎌田社長名義で公表した。
2025年12月期第1四半期（今年1～3月）の営業利益が大幅に増加した要因を説明した上で、「長年にわたる『米余り』環境下での薄利多売という米穀卸売事業の構造的な低収益体質において、供給不足という市況の急変が勃発した結果の反動であり、（大幅増益は）限定的な事象」だと強調。
同時に、流言飛語に対しては「弊社が市場価格を釣り上げたり、買い占めや出し惜しみによって流通を阻害したりといった事実は一切ない」「店頭に並ぶ商品の価格は、弊社が直接的に販売価格を決定しうる立場にはない」と、いずれも根拠を明示した上で完全否定した。
以下はその全文だ。
（はじめに）
平素より弊社への格別のご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
昨今発生しております、全国的な米の価格高騰や店頭での在庫不足などの流通混乱に際し、弊社の業務についても皆様にご心配をおかけしておりますこと、まことに心苦しく存じます。
今回の米価上昇や供給不安に関し、弊社を含む米穀卸業界に対し、さまざまなご意見が寄せられております。一部には、事実と異なる見解や誤解に基づくご指摘も見受けられますが、弊社としては、こうしたご不安やご不審を真摯に受け止め、引き続き透明性をもって説明し、信頼の維持に努めてまいります。
（足許の米穀流通問題に対する認識）
米穀の流通問題につきましては、現在は、政府備蓄米の流通が進んだこともあり、徐々に解消に向かっておりますが、背景として、記録的猛暑や豪雨による収穫量の減少や、生産コストの上昇、インバウンドを含む消費の増加、ひっ迫感を受けた買い急ぎといった複数の要因が重なり、安定供給に対する不安が増大した現象があるものと考えられます。
（弊社の位置づけと行動）
ここで明確に申し上げたいのは、弊社が市場価格を釣り上げたり、買い占めや出し惜しみによって流通を阻害したりといった事実は一切ないということでございます。
米穀流通プロセスにおいて、弊社はあくまで「原料精米および供給の役割を担う立場」であり、取引価格の不当な操作は行っておりません。仕入、販売、在庫の実績についても毎月、農林水産省に報告しており、流通を意図的に制限する等の不適切な対応は一切ございません。
弊社の国内産主食用米の年間取扱数量は、2024年実績で約26万5,000トンであり、これは2024年度の全国需要（約700万トン）の約4％に過ぎず、米穀市場を左右しうる影響力を持ち得ないことは明らかです。
弊社は、「必要なお米を必要な方へ確実に届ける」という社会的責任を第一に考え、上場企業に求められる適正かつ堅確なガバナンス・業務体制の構築及び説明責任を踏まえつつ、安定供給の維持と流通の正常化に努めておりますことをどうかご理解ください。
（2025年第1四半期決算について）
弊社の当第1四半期連結累計期間（2025年1月1日〜3月31日）における米穀事業セグメントの業績は、売上高311億62百万円（前年同期比127.1％）、営業利益19億29百万円（同487.4％）となりました。
営業利益が増加した主因は、（１）お取引先への安定供給を重視し、高騰する仕入価格を、ご理解をいただき販売価格へ適時適切に反映できたこと、（２）スーパー等の小売店における値引き販売等の減少により、弊社販売価格と利幅が改善したこと、（３）横浜市にあった本牧工場を閉鎖し、桶川工場との統合により、製造効率の向上や製造コストの低減を実現したこと、です。
もっとも、上記増益の背景は、長年にわたる「米余り」環境下での薄利多売という米穀卸売事業の構造的な低収益体質において、供給不足という市況の急変が勃発した結果の反動であり、限定的な事象であると認識しております。
（当面の取り組み）
上述のように、店頭に並ぶ商品の価格は、弊社が直接的に販売価格を決定しうる立場にはございませんが、消費者の皆さまのご負担が増していることについて、引き続き供給体制の効率化や無駄の排除などを通じ、少しでもその負担を和らげる努力を続けてまいります。
さらには、精米後の品質チェックや衛生管理の徹底、異物混入防止策等の強化を図るとともに、政府備蓄米の適正価格による迅速・安全・安心な流通に資するべく、小売業者様とさらに緊密に連携しスピード重視で取り組みます。
（おわりに）
弊社は、すべてのステークホルダーの皆さまとともに、生産者にとっても消費者にとっても信頼に足る流通の担い手であり続けることを目指しております。今後も、全国の皆さまに安心してお米を手に取っていただけるよう、取り組みを継続してまいります。
引き続き、丁寧な情報発信を通じて、皆さまとの信頼関係を大切にしてまいりますので、ご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
