◇ 米先物3年ぶり復活へ、本上場申請を「認可が適当と判断」

 米先物取引の3年ぶり復活が、事実上決まった。政府が6月21日、㈱堂島取引所(大阪府大阪市、村田雅志社長)による本上場申請に対して、「認可が適当と判断」との認識を表明したもの。同日午後にも、農林水産省・経済産業省から「認可する」旨の通知書が届く運び。今回堂島が申請していたのは「米穀指数先物取引」で、3年前まで試験上場が10年続いたコメ先物取引とは別物。堂島は8月13日から取引を開始する予定だ。
 今回、認可が決まった米先物取引は、農林水産省が毎月公表している相対契約価格・数量(令和5年産では118銘柄)から「主食用米平均価格」を弾き出し、これを指数と考えて将来価格(1年先までの偶数限月)を取引するもの。現物決済を伴わず差金決済だけだが、別途先物価格に基づく現物の売買場所として「指定現物市場」を指定する運びだ。
 商品先物取引は、世界的にみて日本(堂島)の「米」が発祥とされる。日本では享保15年(1730)~昭和14年(1939)の間続き、平成23年(2011)、72年ぶりに復活したものの、令和3年(2021)になって事実上廃止に至っていた。
 堂島による本上場申請をめぐっては、令和3年「不認可」、今回「認可」と、明暗が分かれた。この理由を、農林水産省は以下の通り説明している。

認可基準過去の米先物今回の申請内容
十分な取引量が見込まれるか○ 新潟コシを中心に、試験上場期間の2年間で過去最大の2,522枚の取引量○「主食用米の平均価格」を対象とし、個別の産地品種銘柄の将来価格の推計も概ね可能
○ 直近月の取引量も、とうもろこし等の過去の本上場認可商品と遜色のない水準○ 過去の米先物取引に比べ、十分な取引量が見込まれる状況
生産・流通を円滑にするため必要かつ適当か○ 取引に参加している生産者・流通業者の数は3期連続でほぼ横這い○「主食用米の平均価格」を対象とし、個別の産地品種銘柄の将来価格の推計も概ね可能
○ 取引参加生産者の利用意向は「活用したい」との回答が減少○ 現物取引と先物取引の組合せにより価格変動リスクを抑制可能
○ 過去の米先物取引に比べ、十分な生産者・流通業者の参加が見込まれる状況
特定の産地品種銘柄に偏っている○ 取引の9割は新潟コシに偏向○「主食用米の平均価格」を対象(個別の産地品種銘柄の将来価格の推計も概ね可能)

 認可表明に先立ち自民党は農林水産省に対し、以下の「申入れ」を行っている。
① 今回の本上場申請に対しては、法律の要件に照らして適切に判断すること。
② 米の先物取引が、需要に応じた生産や事前契約の取組を阻害するものとならないよう、市場の監視・監督を適正に行うとともに、必要に応じて値幅制限、取引停止等を講じる等、継続的に責任をもって取り組むこと。

おすすめ商品

【パックごはん】青森県産 青天の霹靂 1ケース24食入り(180g×3パック×8袋)

¥4400(税込)

【(送料無料)パックごはん/ケース】青森県の高級銘柄米「青天の霹靂」ごはんパックで登場!(ライケット)

観戦記 「茶番だ!!」
 ○ 自民党は6月21日の午前8時から、農林合同会合を開き、この先物「問題」を議論した。このなかで藤木眞也氏(参・比例)から「事前にレクを受けた。平場では全く議論の時間もないまま、実質的な国会最終日にぶつけてくるとは……。茶番だ!!」との声があがった。
 ○ これに対し、江藤拓総合農林政策調査会長(衆・宮崎2区)は、会合の最後の挨拶で、「茶番と言われたのはショックだった。実はこの問題、一部の方から『インナー(農林幹部)だけで議論してはどうか』との声があがったのだが、それは良くないということで、本日の議論に至った経緯がある」と発言。
 ○ そもそも上記の自民党会合は、午前8時30分開始とアナウンスされていたのだが、前日の午後になって前倒しされた。同じく前日の夕刻になって、6月21日の閣議が「午前9時開始」とアナウンス。果たして、自民党会合は6月21日の午前8時に始まり、午前8時30分には閉会。決議文をもって農水省に申し入れしたのは午前9時30分。午前10時20分になって、閣議後定例会見が始まり、この席で問われた坂本哲志農相が「認可する」旨を公の場で表明した――という流れ。
 ○ 茶番……ではないにせよ、「予定調和」は否定できないでしょ?

全国共通おこめ券

いつでもお好みのお米等とお引き換えができる、もらって嬉しい全米販の「全国共通おこめ券」

カテゴリー別最新ニュース

商品・事業
一覧
需給・相場
一覧
施策・政策
一覧
調査・研究
一覧
組織と人事
一覧
予算と計画
一覧
決算と業績
一覧
事件・事故
一覧