◇ 米指数先物取引の商品設計が判明、差金決済のみに限定流動性向上へ

 ㈱堂島取引所(大阪府大阪市西区阿波座、有我渉社長)は6月26日、本上場の認可を受けた米指数先物取引(愛称:堂島コメ平均)の商品設計を発表した。同日の報道関係者を対象とした説明会で明らかにしたもの。それによると、現物受渡を一切伴わない指数取引(差金決済のみ)のため「投資家が参加しやすい」。また対象が特定の産地銘柄ではなく「JRPI:現物コメ指数」(主食用の平均米価)のため「どの地域の当業者でも参加しやすい」。これにより「流動性が高まる」ことを期待している。当初言われていた「指定現物市場」構想は断念した模様だ。

 説明会で報道側からあがった質疑は、ほぼ2点に絞られた。一つは、「当業者、特に生産者、団体の参加をどの程度見込んでいるのか」。これに対し有我社長は、以下の通り応じている。
「『やってみないと分からない』が正直なところ」
農協系と商人系が競合関係にあるなかで、(先物を)その垣根を取り払った共通インフラに出来ないか、が最初の動機。もちろん農協にも使っていただきたいし、大規模生産法人にも使っていただきたい」
「当業者から『要望書』を頂戴している。こうした方々には使っていただけるのではないか」

 もう一つは、「流動性が高まると、乱高下や現物価格との乖離が起こるのではないか」との心配。これには藤原淳一自主規制部長が以下の通り応えた。
「当業者の参加率が高いと、同じような情報に基づき、同じような方向を向く傾向にある。故に流動性が高まらない。試験上場期間中、むしろ参加されていた当業者の方々から、『もっと投資家を呼び込んで欲しい。流動性が低いとリスクヘッジにならない』とのご要望を受けた経緯もある」
「乱高下の心配をされる方々がいるが、事実として試験上場期間中の10年間、一度も乱高下と呼べる値動きはなかった」
「現物価格との乖離の可能性を指摘される方々もおられるが、今回の指数取引の場合、最終決済数値に『当月限の最終決済日に公表する平均米価』を置いている。したがって乖離はあり得ない。流動性が高まる以上、途中ではもちろん値動きがあるわけだが、値幅制限もあることだし、『乖離』と呼べるような事態は起こらないと考えている」

【堂島コメ平均の商品設計概要】

取引開始日令和6年(2024)8月(予定)
商品市場米穀指数市場
取引の種類指数先物取引
上場商品
指数
米穀指数
上場商品
指数対象品
米穀
取引対象将来における「JRPI:現物コメ指数」(主食用の平均米価)
売買仕法システム売買による複数約定数値方式による個別競争取引(ザラバ取引)
呼値1俵(60㎏)あたり価格(10円刻み)
取引単位3t(約定数値に50を乗じた値)
取引時間営業日の午前9時~午後3時
取引の期限新甫発会日の属する月から12か月以内の偶数限月(2月限、 4月限、6月限、8月限、10月限、12月限)
当限月取引最終日偶数月の最終営業日の前営業日
最終決済日当月限の最終営業日
新甫発会日毎奇数月の最初の営業日
最終決済
数値
当月限の最終決済日に公表する平均米価
JRPI:現物
コメ指数
農林水産省が毎月公表する「米の相対取引価格・数量」における全銘柄について相対取引契約の価格を前年産検査数量で加重平均した値を基に、米穀機構DI推計して算出した数値(1円の位を四捨五入、当限最終営業日に㈱堂島取引所がWEBサイトで公表、新穀切替時期は10月)
制限数値1番限を除く各限月の制限数値幅:前営業日における各限月の帳入数値に2%を乗じた値(1の位を四捨五入)
(値幅
制限)
1番限の制限数値幅:前営業日における帳入数値に4%を乗じた値(1の位を四捨五入)
取引証拠金所要額JSCC(㈱日本証券クリアリング機構)がVaR方式により算出・設定
委託者等の
必要
証拠金額
JSCCが定める取引証拠金所要額を下回らない範囲で、各商品先物取引業者が「委託者証拠金」として定める額
建玉数量の制限1番限(当月限取引最終月)200枚、1番限(当月限取引最終前月)350枚、2番限500枚、3番限1,000枚、4~6番限2,000枚(詳細は現在検討中)
マーケットメイカー制度導入する
ギブアップ制度導入する
立会外取引導入する
ストップ
ロス取引
導入する
委託手数料各商品先物取引業者が定める額
※JRPI:Japanese Rice Price Indexの略。
※VaR方式:Value at Riskの略。特定のポジションを一定期間保有すると仮定し、将来の価格変動により一定の確率の範囲内で予想される損失をカバーする額を計算する方法。
※休業日:土曜日、日曜日、祝日、年末1日(12/31)、年初3日(1/1~1/3)
※板合わせ、事前注文受付はなし。夜間立会・祝日取引はなし。

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