◇ 乳幼児より「保護者が学ぶ機会」もとめる、食育に関する世論調査

 乳幼児への食育に関して、どのような取組みが必要か訊いたところ、乳幼児の学ぶ機会よりも、「保護者が食について学ぶ機会」の充実を求めていることが明らかになった。11月1日、内閣府が公表した「食育に関する世論調査」によるもの。
 農林水産省が毎年行っている「食育に関する意識調査」とは別枠のもので、国民がどのような食育を求めているのか、また効率的な情報提供方法を把握するために実施。農水省の担当者によると、「今回限りの調査」だとしている。

≪食について話題にしたこと≫
 最近1か月の間で、話題にしたことで最も回答割合が高かったのは、「栄養バランスや食生活」の57.7%だった。次いで「食材」(46.4%)、「料理レシピなどの調理」(40.7%)と続いた。
 農水省は当初、「飲食店」や「惣菜や弁当」が多いと見込んでいたが、「栄養バランスや食生活」が最も多かったことから、「国民の関心をしっかり捉えて、食育を進めなければならないと改めて感じた」という。一方、「農林水産業や生産者」「酪農体験や収穫体験」の話題が少ない点について、「特に都会の消費者と、生産現場との心理的な距離が離れていることが反映された」と分析。「農業の生産現場に触れる機会をどう作っていくのか、我々は取り組まなければならない」とした。
 男女別にみると、「料理レシピなどの調理」は女性が高く、男性が低い結果となった。農水省は「男性が調理をする機会が少ないと思われる。地域の男性向け料理教室の開催など、工夫していく必要がある」とした。

≪乳児や幼児に対する食育の取組み≫
 乳幼児への食育に関して、どのような取組みが必要か訊いたところ、「保護者が食について学ぶ機会の充実」が71.8%と最も多かった。次いで、「保育所・幼稚園・認定こども園などでの給食の実施・充実」(49.8%)、「保育士・幼稚園教諭・保育教諭やそれらをめざす学生の食に関する指導力の向上」(43.4%)と続いた。
 農水省は、「乳幼児が学ぶ機会よりも、保護者が学ぶ機会を求めていることは気づきとなった。有識者からも保護者への教育を指摘されている中で、それに合う結果となった」としている。

≪小・中学生に対する食育の取組み≫
 小・中学生への食育に関して、どのような取組みが必要か訊いたところ、「児童・生徒が食生活や食文化について学べるコンテンツの充実」が56.0%と最も多かった。次いで「保護者が食について学ぶ機会の充実」(53.7%)、「学校給食における地場産物の利用拡大など、学校給食の充実」(51.7%)と続き、前問とは多少異なる結果となった。

≪民間企業が発信する食育情報の入手方法≫
 民間企業による食育の取組みに関する情報について、何から発信すれば手に入りやすいか訊いたところ、「テレビや新聞による広告」が64.5%と最も多かった。次いで「食品スーパーなどの店頭ポスターや店内ディスプレイ」(56.0%)、「食品スーパーなどの陳列棚における表示」(47.5%)と続いた。年代別に見ると、高齢層は「テレビ・新聞」を重視しているのに対し、若年層は「動画やSNSを通じた発信」を重視を持っていることが分かった。

≪農林漁業体験参加への工夫≫
 どのような工夫があれば、農林漁業体験に参加したいか訊いたところ、「体験費用が無料または安価であること」が55.2%と最も多かった。次いで「食品工場や加工施設の見学・試食などと合わせて体験できること」(49.1%)、「近場で日帰りできること」(47.1%)と続いた。

≪農林水産業や産地に親近感を持つことができる場面≫
 日常生活の中で、どのような場面であれば、より多くの人が農林水産業や産地に親近感を持つことができるのか訊いたところ、「食品を買ったり、外食をしたりするときに関連する産地情報が得られる」が56.0%と最も多かった。次いで「テレビや新聞などを通して農林水産業や産地についての情報が得られる」(47.5%)、「農林漁業体験や生産者と消費者の交流を促進する活動など、食に関するイベントに参加する」(40.6%)と続いた。年代別に見ると、若年層は「テレビ・新聞が発する情報」に関心が低く、「動画やSNSが発する情報」に関心を持っていることが分かった。

 調査は今年7月25日~9月1日、全国18歳以上の日本国籍を有する男女3,000人を対象に、郵送法で実施したもの。有効回収数は1,656人、有効回収率は55.2%だった。

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