メタミドホス

 methamidophos 有機燐系の化合物で、殺虫剤の一種。
 殺虫効果のある対象生物種の範囲は非常に広く、この範囲にはヒトも含まれる。昭和39年(1964)に西ドイツ(当時)のバイエル社が開発した。日本では現在、農薬取締法に基づく農薬登録がなされていないため、食品衛生法で残留基準0.01ppmに設定されている。つまり事実上、国内では使用が禁止されている農薬で、海外では使われているため、輸入農産物の残留が問題になる。
 仮に口にした場合、重症になると意識混濁、全身痙攣、肺水腫、血圧上昇、失禁などに陥る。事故米事件の際、MA米からメタミドホスが検出されて問題視された。ただし検出値は最高でも0.06ppm。食品衛生法違反には違いないが、日本ではADI(1日あたり摂取許容量)が0.0006mg/体重㎏/日、ARfD(急性参照用量)が0.003mg/体重㎏/日と設定されているため、体重が50㎏の人でも1日に2.5㎏(約17合)を食べなければ健康に悪影響が生じることはない。
 ADIは毎日一生食べ続けても、ARfDは24時間以内に経口摂取しても、健康に悪影響が生じない水準。ともに動物と人との差や、個人差(子どもや妊婦も含む)を考慮して設定されている。

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