◇ ホクレン、令和5年度は増収増益も米穀部門取扱高減
2024/6/19/ 12:00
ホクレンは6月18日、令和5年度(2023)事業実績を増収増益と公表した。それによると、取扱高(売上高)の過去最高記録(令和4年度)を更新、2期連続で1兆6,000億円を超えた。「乳価改定による生乳の販売単価上昇など、生産コスト上昇分の価格反映を進めたこと」によるもの。だが米穀部門は前年度比で減少となり、総体で82億円、うるち米が77億円だった。
また事業利益、経常利益とも増益をあげたのは、「生乳、牛乳乳製品、砂糖など、多くの品目で価格転嫁を進めたことや、全農からの事業分量配当金の受入があったこと」によるもの。出資配当4億100万円を据え置き、事業分量配当金として過去最高の27億円を計上。結果として総額31億100万円を還元し、配当性向は約50%に達している。
△取扱高 1兆6,079億円 計画比+0.9%(+151億円)前年比+0.3%(+62億円)〈共計品含む〉
△事業総利益 314億75百万円 前年比+3.7%(+11億12百万円)
△事業管理費 260億66百万円 前年比+2.3%(+5億80百万円)
△事業利益 54億8百万円 前年比+10.9%(+5億31百万円)
△事業外損益 21億9百万円 前年比+21.2%(+3億69百万円)
△経常利益 75億17百万円 前年比+13.6%(+8億99百万円)
△当期剰余金 63億75百万円 前年比+6.4%(+3億82百万円)
また同日、令和6年度(2024)事業計画を公表。それによると、取扱高(売上高)計画は前年度計画比+1%の1兆6,160億80百万円を計上した。固定資産取得計画は85億31百万円で、内訳は、設備投資計画37億91百万円、開発資産計画46億40百万円、外部出資計画1億円。
【ホクレン令和6年度事業計画】
《基本方針》「Vision2030めざす姿に向けた具体的取り組みの実践」
めざす姿を実現するために定めた7つの重点方策に沿って、課題への対応や新たな挑戦を具体的に行動計画に落とし込み、実践していく。
併せて、更なる機能を発揮するための本会自身の経営基盤強化や農業所得向上に向けた生産コスト低減や北海道農畜産物の付加価値向上を図り、持続可能な北海道農業の実現に向けて取り組んでいく。
《重点方策》
1.総合力の発揮による地域課題の解決
(1)JA・生産者との対話を通じた地域課題の把握
△関係機関との連携による気候変動に対応した暑熱対策などに向けた情報収集と実証
(2)販売・購買・営農支援の三位一体の事業運営による総合力発揮を通じた地域課題の解決
△JAと一体となった推進体制の強化によるJAグループ北海道への結集
△農業所得の維持向上に向けた増嵩コストの適正な価格反映や北海道農畜産物の需要拡大策の実施
2.消費者ニーズと産地の強みをつなぐバリューチェーンの構築
(1)ニーズの多様化に対応した生販一体となった農畜産物流通の構築
△農畜産物の高付加価値商品(健康・簡便・環境)の市場投入
(2)他企業・関係機関との連携による価値創出
(3)輸出などの新規市場への販売拡大と新たな分野への挑戦
△香港・台湾を中心とした米やLL牛乳などの販売拡大と新規輸出国の開拓
△米糠を活用した付加価値商品「北海道こめ油」の販売拡大へ向けた製造体制の確立
3.持続可能な物流体制の構築
(1)物流拠点の確保・集約化などによる安定輸送力の確保
△円滑な輸送に向けた道内外における中継拠点の活用
(2)他企業との連携などによる輸送力確保と物流コスト低減
(3)将来にわたる安定的な物流体制の構築
△貨物鉄道・トラック・船舶などすべての輸送手段の維持・存続に向けた関係機関との連携
4.新技術やスマート農業の推進等による生産力の向上
(1)最先端のスマート農業のモデル実証および普及推進
(2)作業の省力化および自動化による労働生産性の向上
△省力化・生産性向上に資する農業機械・関連技術などの実証・普及
(3)農業生産の効率化に向けたデータ活用型農業の実現
△ホクレンGISの運用と利用拡大を目指した現場ニーズ集約と機能開発
5.労働力不足への対応と人材育成支援
(1)関係機関と連携した労働力確保や省力化に向けた取組強化
△農業求人サイトの運営やパートナー企業との連携による農作業人材の確保
(2)新規就農者や担い手、JA職員の技術力・知識向上に向けた支援
6.みどりの食料システム戦略への対応やSDGsへの取り組みを通じた環境負荷軽減と農業所得向上の両立
(1)肥料・飼料の安定確保に向けた国内資源活用の推進
△国内資源(堆肥)の利用拡大を目指したBB肥料の普及推進
△国産飼料の円滑な流通や耕畜連携の取組推進
(2)研究機関や他企業との連携による新技術の研究・開発
△てん菜の未利用資源を活用した微細藻類培養による油脂製造に向けた大学との共同研究
(3)環境負荷軽減に寄与する資材供給・生産技術の普及
△精米や片栗粉などにおける化石燃料由来の原料を低減し
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