中干し
2024/6/08/ 19:52
なかぼし。稲の生育ステージあるいは作業の一つ。圃場(水田)から水を抜き、土壌に細かなヒビが入るまで乾かす作業を指す。稲の生育ステージの最後ではなく途中に行うため、この名称がある。
移植(田植)後、圃場は常に水が湛(たた)えられた状態になっている(これを『湛水』と称する)ため、放置しておけば稲にとって有害なガス(硫化水素やメタンなど)や酸が発生し、生育に悪影響を及ぼす。このため、さほど水分を必要としない時期に水を抜く必要がある。出穂前30~40日、目安として茎数が1本あたり20本程度の頃が、中干しの適期。ちょうど土用の前後にあたることから「土用干し」の呼称も。
中干しによって、逆に土壌中に酸素が補給され、有害ガスも放出されるため、根張りが旺盛になり、結果的に増収効果をもたらす。また水を抜くことで、窒素肥料の吸収を抑制、過剰分蘖を抑える。さらに土壌が堅くなることから、倒伏防止にも役立つ。最近は「中干し期間の延長」がJ-クレジットの対象ともなっている。
ただし中干しも、やりすぎは禁物。土壌に大きなヒビが入れば根を断ち切ってしまったり、土壌の保水性を落とせば登熟期の水分を奪う。最悪の場合、水稲が陸稲化してしまい、大幅に単収が減る(収穫前に稲の寿命が尽きてしまう)。これを「秋落ち」という。