◇ 令和5年度の外食市場は+6.5%の31兆円強、矢野経済調べ

 ㈱矢野経済研究所(東京都中野区、水越孝社長)は11月8日、外食市場に関する調査結果を公表した。令和5年度(2023)の国内外食市場規模は、末端売上高ベース(消費者支払金額ベース)で前年度比+6.5%の31兆2,411億円と推計。「行動制限が求められなくなり、年間を通して外食需要の回復基調が継続したことで、市場規模がコロナ禍前を上回る水準にまで回復した」としている。なお「国内外食市場規模」は、持ち帰り弁当・惣菜専門店などの中食業態も含む。

《業態別》
 コロナ禍でも好調だったファストフードは、コロナ禍後もテイクアウトとデリバリーの定着などで好調を維持。
 ファミリーレストランは、コロナ禍で不採算店舗の整理を進めたとともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進。客席設置のタブレット端末やスマートフォンを用いたセルフオーダー・会計システム、配膳ロボットの導入による省人化など、業務効率化を図ったことで店舗内での生産性が向上した。
 すし、うどん・そば店、中華レストラン・ラーメン店、カフェなどの専門性の高い業態も回復。一方で、居酒屋、パブ、ビアレストランは、宴会需要も戻りつつあり回復基調にあるものの、コロナ禍で店舗数自体が減少したことから、コロナ禍前の水準には達していない状況にある。

《コスト上昇に伴う価格改定》
 近年、原材料費、人件費、物流費などが上昇。各社は、食材の変更や物流の見直しなどによるコスト削減に取り組んでいるが、それだけでは従来価格の維持が難しく、価格改定をせざるを得ない状況になっている。
 令和3年(2021)後半から数々の外食チェーンが値上げに踏み切ってはいるが、物価高騰が続くなかで、コストを充分に吸収しきれず、年に1~2回のペースで定期的に値上げしている企業も少なくない。
 一方で、値上げによる客離れを抑制すべく、単に商品価格の値上げを行うのではなく、品質の向上や改善にも取り組むことで、消費者の納得を得られる商品価格と品質のバランスをとるよう努めている。
 このほか、賃料や人件費の違いを踏まえて地域ごとに商品価格が異なる地域別価格制度を導入したり、人件費が日中よりも嵩む深夜営業のコストを補填するため、深夜料金の導入を進める動きもある。

《将来展望》
 令和6年度(2024)は、コロナ禍から社会経済活動が復調したことから、令和53年度と比べても来店客数の増加を見込む。また価格改定などの施策で客単価が上昇することから、「国内外食市場規模」は末端売上高ベースで、前年度比+2.9%の32兆1,423億円を予測する。

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