◇【TDB情報】来年4月頃までは断続的な値上げラッシュが続く

 帝国データバンクは12月26日、今年の食品値上げの動向と、来年以降の見通しを公表した。食品主要195社を対象とした定期調査によるもの。それによると、各種コスト高を背景に値上げマインドは再び高まりつつあり、少なくとも来年4月頃までは断続的な値上げラッシュが続くと見ている。
 令和6年(2024)通年の値上げ品目数は累計で1万2,520品目で、1回あたりの値上げ率平均は17%。10月こそ年内最大およそ2,900品目の値上げが実施されたものの、年間を通じて値上げは抑制された恰好で、前年比6割減の水準となった。
 ところが来年は、4月までに約6,000品目の値上げが判明しており、今年に比べ約6割増のペースとなっている。来春にかけて今年を上回る値上げラッシュが常態化する見通し。1回あたりの値上げ率平均は18%と、今年と同等か、さらに上回る水準で推移すると見ている。加工食品や菓子類、酒類・飲料を中心に、20%を超える大幅な価格引き上げを行う食品が多いことも、値上げ率が高止まりした要因となっている。

 足元では、急激な円高が進行した年半ばまでのドル円相場が一転して円安傾向で推移し、輸入食材などを中心に値上がり圧力が高まりつつある。原材料のほか、プラ容器など包装資材を含めたモノ由来の値上げに加え、物流費や人件費などサービス由来のコストでも値上がりが続いている。企業努力による製品価格引き下げや据え置きによる販売量の維持は、収益面で限界に達しつつある。各種コスト高を背景に値上げマインドは再び高まりつつあり、少なくとも来年4月頃までは断続的な値上げラッシュが続く。特に、値上げタイミングが集中しやすい2~4月にかけて月あたり2,000品目を超える値上げが見込まれる。今後の展開次第では、月3,000品目に達する大規模な値上げラッシュの発生も想定される。
 来年5月以降は、不透明な状況ながら、足元の円安傾向によって輸入品では再び調達費用の増加が想定される。また物流費のほか、年内に実施した賃上げによる人件費増など原材料高以外の要因を背景に、粘着質な値上げトレンドの継続が見込まれる。来年の通年の値上げ品目数については、現状のペースが続いた場合、今年を上回る年1.5~2万品目前後に到達する可能性がある。

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