◇ 日本農業賞、大賞に「千姓」「下高城ふぁあむ」輝く

 全中(《一社》全国農業協同組合中央会、山野徹会長)は1月27日、「第54回日本農業賞」の審査結果を発表した。「日本農業の確立をめざして、意欲的に経営や技術の改善に取り組み、地域社会の発展にも貢献している農業者と営農集団や、食や農の担い手として先進的な取り組みをしている個人・集団組織を表彰」するもの。個別経営の部に94者、集団組織の部に93者の応募があり、最終審査の結果、「大賞」「特別賞」「優秀賞」を選出した。米穀(稲作)関連の受賞は以下の通り。

《個別経営の部 大賞》
△㈲千姓(センショウ、愛知県阿久比町、都築興治代表、都築佳世取締役)

 平成18年(2006)に先代が設立した法人を、平成23年(2011)に就農した興治氏が平成24年(2012)に代表取締役として引き継いだ。当時の経営面積は26haであったが、令和5年(2023)には水稲130ha、露地野菜18ha、施設野菜80aの大規模複合経営に成長した。水稲15品種、野菜20品目を生産し、労働力の平準化と年間を通じた出荷を実現している。主食用米では30haで特別栽培米「れんげちゃん」(レンゲ米)に取り組み、耕畜連携を含めた資源循環を行う。1,000区画以上の小区画農地が広域に分散し、傾斜も大きく、畦畔管理に労力を要するが、条件が悪い農地でも引き受け、丁寧に管理し、地域の信頼を得て規模を拡大している。
 粘質土壌という条件不良地で、効率的で低コストな水稲と野菜の大規模複合経営を確立した。特筆すべき点は水稲の規模拡大だけでは経営が成り立たないとの判断から、野菜部門を立ち上げ新たな収益の柱にし、成功している点である。「農業で食を楽しく豊かに」という理念から、佳世氏を中心にレンゲ畑でダンスする動画等をSNSで情報発信し、体験農業では工夫を重ね、好評を得ている。動画マニュアルを用いた丁寧な社員の教育、達成度に応じた能力給を組み込んだ人事評価制度等、人材育成にも優れる。また、独自の研修プログラムで研修生を受け入れ、就農支援体制を整え、地域での11人の独立就農に貢献した。その他、80社にのぼる販売先の開拓、地元の車メーカーの業務改善を倣ったカイゼン、31点もの加工品開発等も特色といえる。

《集団組織の部・大賞》
△農事組合法人下高城ふぁあむ(宮城県色麻町、早坂成弘代表理事)

 前身の下高城集落営農組合の圃場整備と法人化を契機に、平成26年(2014)にプール方式を選択した農事組合法人として誕生した。令和5年(2023)の加入農家は29戸、平均年齢は67歳であり、50歳代の専業農家を中心としながら、兼業農家のプラスアルファの収入を実現し、兼業農家を次世代の中心的な担い手として位置づけて展開している。水稲44.2ha(内飼料米16.2ha)、大豆28.5ha、ごぼう0.7ha、さつまいも0.3ha、大根0.2ha等で栽培している。
 除草作業などに全員参加の“ぐるみ型”を方針として取り組んでいる。構成員には従事量に応じた還元を行い、構成員は平均100万円、最大700万円の収入を得ている。共同・共助(助け合い)や仲間意識の精神が経営のベースにあるとしながら、合意形成を前提としている点や、それぞれの立場に応じた貢献が許容されつつ組織が発展している。耕畜連携やスマート農業への積極的な取り組みや「高城ごぼう」のブランド化や栽培に技術を要する「金のいぶき」などに積極的にチャレンジしている。収益を上げつつ、イベント型の取り組みにより農業の楽しさを伝え、子どもや地域おこし協力隊なども巻き込んだ活動を展開している。

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