◇ ヤマタネ持続可能な稲作研究会① 河原田社長、使命は「米を作り続けられる環境を整えること」

 ㈱ヤマタネ(東京都江東区、山﨑元裕会長、河原田岩夫社長)は3月7日、宮城・仙台市内で「第2回 持続可能な稲作研究会」を開催した。一昨年まで11回にわたり開いてきた「萌えみのり栽培コンテスト」から総合的な稲作研究会に衣替えをしたもので、2回目の開催となる。今回は仙台で開催したことで、新みやぎ農協をはじめとする東北、北陸産地の生産者が多く参集した。

 主催者代表として挨拶した河原田社長は、ヤマタネの使命を、「産地がお米を作り続けられる環境を整えること」だと表明。生産現場では気候変動・高齢化などを要因に、各種シンクタンクが「2030年前後には米の需給バランスが逆転する」と指摘している点に触れ、ヤマタネの中期経営計画「2028プラン」を紹介。食品本部をカンパニー制に移行したことで、「目まぐるしく変化する世の中にスピード感をもって対応していく」とした。

 また、昨年9月には担い手が不足する地域で、農業生産法人㈱ブルーシード新潟(新潟県長岡市、竹内正彦社長)を設立。水稲を含めた複合経営に挑戦しており、「全国各地の革新的な生産を行う生産者と、積極的に情報交換を行い、協働しながら高収益モデルの確立を目指している」という。特に稲作では、生産コストの低減を目的に「e-kakashi」などの農業IoTといった新栽培技術・資材の導入を進めることで、栽培体系全体の最適化を実践。「確立したモデルが全ての地域に対応できるわけではないが、このチャレンジした結果をみなさんに共有し、収入向上と課題解決を目指していきたい。今回の講演などを通して、ともにワクワクする未来を創っていけたら」と語った。

 続いて新みやぎ農協の鈴木千世秀副組合長が産地代表として挨拶。「昨今の米穀相場を振り返ると、価格が乱高下している。令和6年産は〝令和の米騒動〟で上がったが、いつまた急激に下がるのか分からず、これでは安心して生産できない」として、「持続可能な農業」の重要性を訴えた。今後については、「ヤマタネら卸売業者と、生産者の皆さんと、私たち集荷団体が契約をしっかり結び、WIN-WINの関係にならないといけない」と語った。

 第2回「多収穫米栽培コンテスト」の最優秀賞は新みやぎ農協の佐々木良一氏で、整粒値73.6%、食味値85、収量(10aあたり)671.1㎏だった。4部門ごとの入賞者は以下の通り。

 併せて、ヤマタネ食品本部の小山義昭米穀部長が「米穀情勢と販売状況・令和6年産作柄・品質概況」を以下の通り報告した。
 ○ 令和6年産は萌えみのり・しふくのみのり両品種とも昨年より平均気温が低く推移したことで品質が向上し1等比率、整粒値、未熟粒の数値が昨年より向上した。
 ○ 収量は、萌えみのりでは日照不足で必要な茎数が確保できなかったことや、高温や長雨で刈り遅れが発生するなど、収量、千粒重が前年より減少。しふくのみのりは高温耐性品種であることや、生産技術の向上などで収量が前年より増加した。
 ○ 食味は、太平洋側(宮城・岩手)、日本海側(秋田)ともに80ポイント近い数値で、生産者の栽培技術が安定して高いレベルにある。
 ○ 今後は、契約栽培の取組みがここ数年足踏み状態となっており、令和7年産以降、着実に作付けを増やしていくべく、大きく2点を考えている。1つ目は、皆様が安心して生産をしていただくためにも、生産したものを使う実需への結びつきを強めること。2つ目は、適地適作の品種開発・普及。昨年・今年と記録的な猛暑が続き、今後もこのような事象が続くことを想定し、現在、萌えみのり・しふくのみのり以外の品種開発・普及に取り組んでいる。詳細は来年、この場では報告できると思う。
 ○ 現在の米穀情勢は依然として厳しい状況に置かれており、皆様のご協力もお借りしながら、今後も精進していく。新たな取組みも着実に進めていくので、ぜひ皆様の忌憚のないご意見ならびに叱咤激励をお願いしたい。

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