◇【信用情報】2024年度の「米麦卸売業」「米穀類小売業」休廃業・解散件数、コロナ禍以降「最多」
2025/4/07/ 14:45
2024年度の「米麦卸売業」「米穀類小売業」の休廃業・解散件数が、コロナ禍以降で最多を更新したことが分かった。帝国データバンクが4月6日に発表したレポート「『米穀店(米屋)』の休廃業・解散(倒産)動向(2024年度)」で明らかにしたもの。
それによると、3月末までの休廃業・解散件数は88件にのぼり、2年連続の増加となったほか、コロナ禍以降の過去5年産では最多を更新した。米不足が鮮明となり、仕入れ量が確保できなかったほか、大幅な価格高騰や価格転嫁の難しさが影響して業績が悪化した事業者が目立った。
また経営者の高齢化も要因となり、事業継続を諦めるケースが増加しているなか、「2025年度も閉店・廃業や倒産が増加する可能性が高い」と分析している。

2024年度の損益状況をみると、25.2%が前年度から「減益」となったほか、22.4%は「赤字」に転落し、赤字・減益を合わせた「業績悪化」の割合は47.6%にのぼった。
米不足を背景に、在庫分の米が高値で取引できたことで売上は増加したものの、新米の仕入れコストが想定以上に増加したことで、収益力が大幅に低下したケースが多かった。
銘柄の取扱いや販路に強みを有する事業者は、仕入れ価格の上昇による影響を強く受けた。加えて、特に地域密着で経営してきた事業者は、家族経営など小規模で運営されており、経営者や従業員の高齢化が進んでいるケースも多く、安定した経営が望めなくなり、事業継続を諦めたケースが増加した可能性がある。

足元では、仕入先を広げながら販売先を既存顧客に限定するなど、安定供給に努める事業者が多いものの、品薄感が強まる食品スーパーや大型チェーン店以上に「米が回ってこない」といった声が聞かれた。「売る米がない」ことに対する危機感が強まっており、米不足を理由に廃業・倒産するケースは、2025年度も増加する可能性がある。
