◇ 台風10号「米生産量に大きな影響が生ずる事態」想定せず、坂本農相

 坂本哲志農相は9月3日、台風10号による令和6年産米への影響を訊かれ、「現在調査中」としつつも、「生産量に大きな影響が生ずるような事態は想定していない」との見解を示した。同日の閣議後定例会見でのやり取り。

 ――令和6年産米の概算金が大幅に上昇しているとの報道がある。相対取引価格も引き続き高値となっている。需給が逼迫するなかで、新米の価格は今後も上昇が見込まれるが、大臣の受け止めは。

 令和6年産米の概算金は、令和5年産に比べ2~4割ほど高い価格で提示されていると、報道で承知している。概算金などの米の取引価格の設定水準は、各産地における需給バランスなど民間の取引環境の中で決まっていくものだ。政府としてコメントは差し控える。
 引き続き、米の流通状況を適切に把握し、米の需給動向に関するより丁寧な情報発信に努めていきたいと思う。

 ――店頭に並ぶ新米の価格をどう見ているか。

 品薄状態なので、平年よりも多少の割高感はあると思う。

 ――台風10号による新米の収穫や今後の流通への影響はどうか。

 台風10号による被害状況は現在調査中だ。現時点で河川の決壊などによる大規模な水田への被害は報告されていない。令和6年産米の生産量に大きな影響が生ずるような事態は想定していないが、引き続き被害状況の把握に努めていきたいと思う。

 ――昨日、吉村大阪府知事が改めて政府米を放出するよう再要望したが、農林水産省の考えに変わりはないか。

 政府米は、著しい不作や2年連続の不作など、米穀生産量の大幅な減少により、年間を通じて米の供給に不足が見込まれる場合に備えたもの。今般の短期的な米の品薄状態は、端境期に南海トラフ地震臨時情報による買い込み需要などが発生したことによる。政府米の放出ではなくて、産地や卸売業者からスーパーなどに安定的に供給して、消費者のお手元に届くよう取り組むことが重要だと考えている。
 農林水産省のホームページでも、逐次さまざまな米の流通過程を公表している。

 ――本日、農林水産品の7月分の輸出実績が公表される。既に公表されている上期分でも米の輸出が好調のなか、国内の需給は引き締まっており、在庫不足や価格高騰も起きている。こうした輸出用米を「なぜ国内向けに回せないのか」という疑問の声もあがっている。輸出用米を国内流通できるようにするなど、柔軟な対応は検討しないのか。

 6月末の民間在庫が156万tに対し、昨年の米輸出実績は年間3.7万tとなっている。一方、令和6年産米の出荷は、既に先月から九州、千葉、茨城などの早期米が出回り始め、今月末までには、産地から集荷業者や卸売業者への年間出荷数量の4割ほどが出荷されるなど、流通が本格化する。各産地の情報によると、令和6年産米の生育は全国的に順調に進んでいる。平年より1週間ほど収穫が早まる産地もあり、併せて出荷も前倒しで行われる見込みだ。
 このため、状況は順次回復していくと見込んでいる。農林水産省としては、米の流通に対して、引き続き出荷、在庫などの状況を把握し、関係団体への働きかけや丁寧な情報発信に努めていきたい。

 ――スーパーの一部では、「いまだ並んでいない」といった声もあがっている。いつ頃(解消を)期待できるのか。

 「いつ頃」と確定ではなかなか答えられない。私は昨日 スーパーに行ったが、店員は「水曜日には入る予定」と言っていた。早晩、この米不足状態は解消すると思う。
 令和6年産米の8月15日現在の作柄は順調で、「良」1県、「やや良」11道府県、「平年並み」31都府県、「やや不良」3県の見込みとなっている。主食用米の作付意向は、主産県を中心に16道県が「前年より増加傾向」とし、このまま生育が順調に推移し平年通りの作柄になると、生産量は令和5年産よりも増えることになる。

 ――6月末の民間在庫量は、業界として「180万tが適正」という感覚があるなかで、今年6月は大幅に上回る状況だった。一方、需要量は減っている。農林水産省はそれでも民間在庫量として適正だという認識か。民間在庫量が減ったことで、今回の品薄に繋がったのでは。

 需要量が年間10万tずつ減少していることから、民間在庫量が180万tを多少割り込んだとしても、「在庫率」は平成の後半とあまり変わらない。なので、180万tから156万tに下回ったからと言って、品薄になったとは考えていない。あくまでも端境期に、南海トラフ地震臨時情報やインバウンドなど、様々な要因が長期的に重なったためだと分析している。

 ――米の品薄感が広がっている状況について。これまで減反や転作を促す政策があった。これに対する指摘の声がやや聞かれるなかで、そういった意見が出ていることを、どう受け止めているのか。
 
 主食用米の需要は、長期的には減少を続けている。生産者や産地が自らの経営判断で、主食用米や麦、大豆など、需要に応じた生産ができるよう推進している。我々としては、麦、大豆などのブロックローテーションも含めて、これまでの政策を推進したいと思っている。

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