◇ 記者説明会で全農、来年は「今回のようなことは起きないと思う」

 全農は、8月中旬~9月中旬にかけて店頭で精米がなくなる事象が発生した要因として、農水省と同じく「需要増」と「天災(南海トラフなど)」をあげた。「需要増」の内訳は、①精米歩留まりの低下(7万t)、②堅調な家庭用需要の継続(5万t)、③業務需要(インバウンド含む)の回復(10万t)――の3点を想定。藤井暁米穀部長は、「20万t程度のブレで(端境期の)大きな混乱が起きたと考えている。来年の6月末在庫(推計166万t)が今年より多くなることを踏まえると、しっかり見通しながら計画を組んで売っていくことで、今回のようなことは起きないと思う」と述べた。10月17日、都内で開いた「米の生産・流通の仕組み」をテーマとした記者説明会で言及したもの。
 質疑応答の要旨は以下の通り。
 
 Q.来年6月末在庫166万tは決して多くないと思うが、他方で令和6年産の出回りが早く、先喰いもありうる。来年の端境期の需給はどうなると見ているか。

 A.消費の動向にもよるが、供給量が増えるので、数字上の不足感は解消すると思う。また令和5年産でもあったように、精米歩留まりも要素としてあるので、そこは注視していきたい。

 Q.今年の需要量が増えたことの分析として、農水省は「インバウンド」や「値ごろ感」だと説明している。やはり価格によって需要が増えたのか。

 A.需要増の一因として、「堅調な家庭用需要」をあげている。年間で1.1%ほど伸びていると整理し、数量では5万tと推計した。これには当然、価格の要素もあると考えている。他の商品が値上がりするなかで、米価は上がっていないとする統計もあり、それによって麦を食べていた人が米を食べるようになったという背景もあると思う。また米の良さを再認識され、米を食べていただいたのかもしれない。価格だけの要素とは断定できないが、価格の要素も含めて堅調さを維持したと見ている。

 Q.「需給逼迫時は、各事業者が集荷業者、生産現場に直接調達に入る動きが活発化する傾向にある」との説明があった。令和6年産も早く出回っているなかで、現場の動きはどうなっているのか。また来年も不足感が生じないように、どのような対策を採っているのか。

 A.調達現場では競合が例年になく起こっている。なので我々も、数量確保に奔走している。大変な状況なのだが、しっかりと取引先に買っていただく分を確保したいと思っている。
 来年のことは正直わからない。近年で最も在庫水準が低くなったということで、我々も経験がないし、生産・流通に関わっている人たちも経験がないことが起こったと思う。来年の不足感に備える形で、事業者ごとに「少しは多めに持っておこう」といった動きになると、その結果として数字以上に少なくなるかもしれない。そこは予測がつかない。

 Q.値上がりした米価は今後、どうなるのか。侵透していくのか。

 A.米価は再生産可能な水準であること、そこはなんとかご理解いただきたいと思っている。その上で、現在の価格水準が、今後どうなっていくのか。売れ行きや需給状況などと関連する部分もあると思うが、再生産価格を割り込まないところでやっていきたい。そのことを皆さまにしっかりお伝えしていきたい。

 Q.今般の「米不足」は、需要が20万tほど増えた程度で発生していると見ているが、米流通のバッファがなくなっていること、需給を安定させることが難しくなっている状況について、問題意識を持っているのか。

 A.我々も、20万t程度のブレで(端境期の)大きな混乱が起きたと考えている。いくつかの要因が重なった結果だが、そういう意味では、繰り返さないための方策について断定的なことは申し上げにくい。様々な思惑や記憶のなかにある危機管理対策などで、「いつもより多くのモノを持っておかなければ」という動きが各段階で少しずつ起きた場合は、先を見通すのが難しくなる。ただ来年の6月末在庫(推計166万t)が今年より多くなることを踏まえると、しっかり見通しながら 計画を組んで売っていくことで、今回のようなことは起きないと思う。

 Q.米価はいつ頃になれば落ち着いてくるのか。

 A.我々としては、絶対的に譲れないのは再生産価格。これは割ってはいけない。一方で、価格は需給で決まるものでもある。我々も一人のプレイヤーにすぎない。取引先にモノを届けるためには、市場の1プレイヤーとして、市場とかけ離れない形での出荷対応も必要になるし、また行き過ぎた価格になれば需要に影響が出てくるのではないかとの懸念もある。そこの均衡点をいかに求めていくのかは、いま始まったばかりなので、価格の落ち着きについても、手探りで進めているところ。いずれにしても買ってもらえなければ作れないので、その価格水準を模索していくしかないだろう。

 Q.輸出は順調に増えているが、どういった市場が有力か。また米粉の展望について。

 A.中国向けは、原発処理水の問題以降、難しい市場になってしまった。ただ諦めることなく、機会を探っていきたいという思いはある。中国を除くと、いま我々の輸出部隊が、色々なところで動き回り、需要を創出できないか日々取り組んでいる。単純に白米を持って行って、すぐさま需要が伸びるかと言えば、そうではない。食べ方や文化的な側面も伝えながら、拡大を進めていく取組みをしているところ。
 米粉市場は伸びつつあるが、原料が滞留して在庫になっていた期間があった。そこから需要はじわじわと伸びているが、在庫の滞留分を解消しなければならないので、米粉の量はあまり伸びていないように見えるのが今のフェーズだと思う。ただ着実に用途が増えており、傾向として少しずつ伸びているので、その伸びを継続するような取組みを少しずつ増やしていっている。

 Q.需給の観点から、望ましい在庫水準はあるのか。

 A.我々としては「適正在庫は何万t」という見解はないが、過去には180~200万tくらいだと価格が安定するという見方をしていた。そのような見方を継続するのか、消費量が減少傾向にあるなかで、それを踏まえた見方にするのか、これから少し考えていきたい。

 Q.作況指数が「102」と出たが、今年も高温障害による歩留まりの低下はあるのか。

 A.我々が扱っている米の等級比率を見ると、平年ベースに戻っていると思う。昨年のような歩留まりの低下は起きないと思う。取引先の卸からも、いまのところ平年ベースに戻っていると聞いている。

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