夏越ごはん
2024/6/08/ 19:57
なごしごはん。米穀機構が平成27年(2015)から提唱している「新・行事食」。毎年6月晦日(30日)、全国の神社で執り行われる神事「夏越の祓(なごしのはらえ)」にちなんだ。
〝基本型〟は、雑穀ごはんの上に、「茅の輪(ちのわ)」をイメージした、緑や赤の旬の夏野菜を使った丸いかき揚げを乗せ、おろしだれ(生姜やレモン)をかけたもの。
「12月31日は年越し蕎麦、6月30日は夏越ごはん」を定着させようと、毎年キャンペーンを実施しており、今や一般家庭にまで広がりをみせつつあると言われる。
「夏越の祓」とは、1年のちょうど半分、折り返し点にあたり、それまでの半年の厄落としと、残り半年間の無病息災を祈るもの。ちょうど大晦日の「年越の祓」と対をなす神事でもある。
厄落としの方法は「茅の輪くぐり」。茅萱(ちがや)という草で編んだ巨大な「茅の輪」のなかを、お題目を唱えながら、8の字を描くように3度くぐり抜ける。お題目は「水無月の夏越の祓する人は、千歳(ちとせ)の命延(の)ぶというなり」。
これらは日本神話に基づいている。兄と弟、二人の兄弟のもとを、一人の旅人が訪れ、一夜の宿を求める。裕福な兄は冷たく断るが、貧しい弟は暖かくもてなす。数年後、この弟のもとを再び旅人が訪れ、恩返しにと「茅の輪」を腰に付けるよう勧める。すると弟は(兄と異なり)疫病から逃れ、末代まで裕福に暮らせるようになった、という故事。
ここに登場する旅人が素戔男尊(スサノオノミオト)で、弟が蘇民将来(そみんしょうらい)。これには諸説あって、兄と弟が入れ替わっていたり、素戔男尊が蘇民とその一族を除いて皆殺しにした説まであるが、未だ「蘇民将来子孫」という厄除け札にまで伝わっている。