農産物検査

 のうさんぶつけんさ。農産物検査法に基づく農産物検査のこと。
 対象は水稲うるち玄米、水稲もち玄米醸造用玄米、普通小麦、普通小粒大麦、普通大粒大麦、普通裸麦、普通大豆・特定加工用大豆(大粒大豆・中粒大豆)、普通大豆・特定加工用大豆(小粒大豆・極小粒大豆)、普通そば、小豆、いんげん、甘藷生切干、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉。主に整粒歩合によって品位を格付する。検査規格には量目と包装(荷造り)も含まれる。さらに産地品種銘柄の確認も行った上で、「検査証明書」を発行する。
 農産物検査法の制定は昭和26年(1951)のこと。第1条に「この法律は、農産物検査の制度を設けるとともに、その適正かつ確実な実施を確保するための措置を講ずることにより、農産物の公正かつ円滑な取引とその品質の改善とを助長し、あわせて農家経済の発展と農産物消費の合理化とに寄与することを目的とする」とある。
 つまりモータリゼーションが未成熟だった時代、サンプルを取り寄せなくても共通の規格に基づいて穀物(主に主要食糧)を取引できるようにした制度。だから検査内容はあくまで品位に限られるのであって、品質の優劣を確認するものではない。また安全性にかかわる事項も検査内容に含まれない。だから1等に格付されたからといって、それが良質を保証するものではないのだが、どうも誤解されているきらいがある。
 原因は、特に米の場合、食品表示法に基づく産地品種銘柄を表示する根拠の一つに農産物検査証明が採用されてしまっていること。任意受検であるにもかかわらず高い受検率を維持している原因にもなっている。
 だが、その検査証明のうち格付(品位の確認)は、最近になって一部に機械鑑定が認められたとはいえ、あくまで「目視」が基本。銘柄証明に至っては「目視」だけに限られており、DNA鑑定は検査法上認められていない。

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