冷害

 れいがい。夏季の低温により稲が受ける被害のこと。
 代表的な例が「やませ」で、特に東北地方の太平洋側では夏でも最高気温が20℃前後までしか上がらなくなり、これが冷害を引き起こすことが多い。
 オホーツク海気団と太平洋高気圧がせめぎあって発生する梅雨期が延びることでも冷害が起こる。
 エルニーニョなどが原因となる異常気象、あるいは火山噴火によって大気中に留まる火山灰が増え、日照量が減少することで発生する冷害も。
 ただし一口に冷害といっても、稲の生育ステージのどの段階で低温に見舞われるかによって、被害が異なる。栄養生長期の低温は、生育を遅らせ十分に登熟できなくなり、結果的に減収をもたらす。これを「遅延型冷害」と呼ぶ。
 幼穂の伸長期、穂孕期、開花期の低温だと、花器が大きなダメージを受けて不稔に陥る。これを「障害型冷害」と呼び、その典型的な例が平成5年(1993)の大冷害。全国平均作況指数74の「著しい不良」を記録し、東北では作況指数56まで下がった。このときの原因がまさしくフィリピン・ピナツボ山の噴火。
 ただし通例、「遅延型冷害」と「障害型冷害」が同時に起こることが多く、これを「複合型冷害」と呼ぶ。

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