事故米
2024/6/24/ 17:00
じこまい。非食用に処理されることになっている事故品の米穀。古くから存在するものだが、一般に広く知られるようになったのは、平成20年(2008)9月の「事故米穀不正転売事件」以降。
事故米はもともと、カビや水濡れなど、人体に大きな影響を与えない事故品を指していた。政府米在庫などでこうした事故品(事故米)が発生した際、農林水産省はその非食用処理を民間業者に委託していた。ところが残留農薬米やカビ毒(アフラトキシンなど)を含んだ事故米までも民間業者へ非食用処理を委託していたことが、事件の最大の原因。非食用処理といっても実際には事故品を安価で売り渡していただけで、買い受けた業者が利益を乗せて食用に転売することなど想定もしていなかった。
最初に発覚したのは平成20年(2008)9月5日。農林水産省が三笠フーズ㈱に売り渡した事故米を追跡調査したところ、食用への転売を確認したため、回収を指示したことを明らかにした。ここから大問題に発展し、その後の調査で、三笠フーズ以外にも、㈱浅井、太田産業㈱、島田化学工業㈱と複数の不正転売ルートの存在が発覚。
農林水産省はこれらにとどまらず、騙されていた転売先の業者名も全面公表に踏みきっており、このうちの1社で社長が自殺している。また一連の事件の引責の恰好で当時の農相と事務次官が辞任、関連職員も処分を受けた。三笠フーズをはじめ事件の首謀者も、損害賠償請求を受けたほか、刑事事件としても起訴され、いずれも実刑判決を受けている。
農林水産省は事件後、遡って流通ルートを調査するのに時間がかかったこと、事故米の大半がMA米だったことが消費者に伝えられていなかったことから、流通の記録と保存、米とあらゆる米加工食品の産地表示を義務づける米トレサ法(米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律)を制定した。