備蓄運営方式
2024/6/24/ 17:00
びちくうんえいほうしき。政府米が果たす役割は、食糧法に「政府は、米穀の備蓄の円滑な運営を図るため、(略)国内産米穀の買入れを行い、(略)当該米穀の売渡しを行うものとする」(第29条)と規定されている。これは改正前(制定当初)の食糧法でも同じだから、食糧法制定当時から政府米の果たす役割は「備蓄に限定されていた」――はずだった。
当初それまでの「平均的な不作」が2年連続しても対応できるボリュームとして、「適正備蓄水準」を「150万t±50万t」と設定していた。だが平成5年産の大凶作以降、豊作傾向で推移したことから、平成8RY末(1996年10月末)には政府米在庫が224万tに膨れあがり、財政負担が年2,000億円に近づくことも珍しくなくなってきてしまった。
そのため食糧庁(当時)は「備蓄運営研究会」論議を経て、適正備蓄水準「100万t」を打ち出した上で、備蓄運営方式を改めた。これが「回転備蓄」だ。簡単に言えば、毎年50万tを買い入れ、50万tを売り渡す、2年で100万tの備蓄米を回転させる方式。
だが結局これも、与党を通じた生産者団体などの圧力から、その時々の需給環境に応じた「政府米による事後的な需給調整機能」を発揮せざるをえない局面が相次いだ。このため平成23年(2011)4月1日から、政府米の備蓄運営方式は、「回転備蓄」から「棚上備蓄」へと移行した。
適正備蓄水準100万tはそのままに、毎年20万tを播種前(収穫前)契約で買い入れるだけ。毎年20万tを売り渡すが、主食向け販売ではなくエサ処理。5年で100万tを「回転」させるが、主食用側から見れば毎年20万tの「棚上」に見える。