イネゲノム

 稲の遺伝情報のこと。ゲノムを構成するDNA(Deoxyribonucleicacid=デオキシリボ核酸)は、生物の遺伝情報を保持している鎖状の高分子。DNA分子は、その構成単位であるヌクレオチドが鎖状につながり、2本の鎖がすりあわさった螺旋状(いわゆる二重螺旋)をしている。この2本の鎖1組が分子で、「遺伝子」はこのDNA分子上の1つの区画を指す。
 DNA分子を構成するヌクレオチドは、デオキシリボース糖がリン酸によって連結されたもので、この糖に4種類の「塩基」のどれかが結合している。4種類の塩基とは、A(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、T(ティミン)の4つ。DNAの二重螺旋では、これらの塩基のうち、互いに向き合ったAとT、GとCが、「塩基対」(水素結合による対合)を作っており、2本の鎖は互いに逆方向になっている。したがって二重螺旋のうち、一方の鎖の並び「塩基配列」が分かれば、他の塩基配列も自動的に分かるという特徴がある。この総体を「ゲノム」と呼ぶ。
 生物種ごとにDNAの数、塩基対の数を特定し、塩基配列を明らかにした上で、それぞれの塩基配列の役割や機能を解析する作業を「ゲノム分析」と呼ぶ。イネの遺伝情報を解析するイネゲノム分析の場合、ゲノムサイズ(bp=塩基数)にして3.9×108bp(ヒトで3.0×109bp)、遺伝子推定領域の数にして約3.7万(ヒトで約2.6万)であることが明らかになっており、国際コンソーシアムが全塩基配列も解読を完了。個々の塩基配列の役割や機能を解析する作業に入っている。

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