いもち
2024/6/05/ 17:05
いもち病の略。稲熱病。イネに発生する代表的な病害の1つ。イネが「イネいもち病菌」に感染することで発病する。原因菌の「イネいもち病菌」はカビの一種。学術名は「Magnaporthegrisea」と「Magnaportheoryzae」の2種類あって、どちらを使うか定まっていない。発生する部位(時期)によって、苗いもち、葉いもち、穂いもちと異なった名前もあるが、病害としての発現の仕方が異なるだけで、原因菌はどれも同一。
葉いもち(写真)の場合、まず褐色の斑点が次第に拡大、内側が灰白色で周囲が褐色、やや菱形様で1㎝ほどの病斑ができる。症状がひどくなると、この病斑が複数あらわれ、互いに癒合、葉全体が褐色になって、やがて枯れてしまう。イネ全体としても生育が止まってしまう。この症状を特に「ズリ込み」と呼び、被害も大きい。
最も被害が大きいのは、穂いもち。穂首の節部分が淡褐色から暗褐色に変色、これが上下に広がっていく。発病が早い場合、白穂になってしまい、全く収穫ができなくなる。遅く発病した場合でも登熟を阻害するため、単収を落とす。
原因菌である「イネいもち病菌」は、前年産の被害藁や被害籾の病斑組織のなかで菌糸状態のまま越冬、翌年新たに分生胞子を作って伝染する。もちろん対抗薬剤は存在するが、被害を最小限に食い止めるためには、まず前年産の藁や籾の処分が重要になる。次に苗箱段階での防除。さらに出穂前後以降も注意が必要だ。