概算金

 がいさんきん。集荷業者としての農協が米を集荷する際、組合員農家に支払う一時金のこと。産地品種銘柄ごと単価を設定する。平成6年産から始まった。当時の名称は「前渡金」だった。その後、「仮渡金」を経て現在の名称に落ち着いているが、今でも一部には仮渡金の名称を用いている産地もある。また仕組みの違いから「内金」との表現も。
 農協は、組合員農家から米の販売を受託している。だから農協が集荷した時点では、米の所有権は組合員農家にある。農協が米を販売した時点で、初めて所有権が移転する。ただし、年1作の米を年間供給していくにあたり、時期によって販売価格が異なるため、販売価格の積算を農家所得にしてしまっては、農業〝協同組合〟の公平・公正が保たれない。そこで、集荷した当年産すべての米を売り切ってから、総収入を農家組合員・銘柄ごとの出荷数量で頭割りする(もちろん手数料は差し引く)。これがJA系統共計(共同計算)だ。
 だが、いくら農協の組合員農家といえど、タダで農協に米の販売を委託することはあり得ない。そこで集荷する際、一時的に支払うのが概算金、あるいは仮渡金だ。当然、概算金よりも実際の販売価格は(手数料を上乗せすることもあって)上の水準になる。農協は最終的に全ての米を売り切ってから、(手数料を差し引いた上で)この差額を組合員農家に支払う。これが共計で言うところの最終「精算」という行為にあたる。したがって、この共計という仕組みに則るなら、組合員農家は自分の米がいくらで売れたかを知るのは、どんなに早くても1年後ということになる。
 この概算金の水準設定が難しい。販売価格が下落することもあり得るから、農協にしてみれば可能な限り低い水準でないとリスクを伴う。だが、あまりに低い水準だと、他の商系集荷業者との集荷競争に負けてしまう。このため、農協は基本的に概算金の単価を「公表」したことは一度もなく、算出根拠を示したことも一度もない。しかし、人の口に戸は立てられないもので、業界紙その他に載ってしまう。結果的に、「概算金単価+手数料など経費」が、それ以上は下げられないという意味での「岩盤」となってしまい、「米の価格は産地が決めている」との批判を浴びることに繋がる。価格形成は市場に任せ、先物価格を参考に概算金水準を設定すれば丸くおさまるはずだが、今のところ農協はどちらにも反対している。
 概算金を支払った後、ある程度販売進度が見えた時点で追加で支払い、さらに最終精算する、つまり計3回にわたって支払う仕組みをとる産地もある。この場合、最初に支払う一時金を「内金」、2回目の支払いを「追加払い」、最後を「精算」と呼ぶ。追加払いを複数回に分ける産地もある。
 逆に、概算金も内金も追加払いも精算も一切なく、一発回答の「買取」で集荷する産地もあるが、販売先が決まっている分だけを買取集荷するため、この場合も農協がリスクをとることはない。またインボイス制度導入に伴い、「農協特例」が買取には適用されないことから、近年では買取集荷を共計に戻す農協が続出している。

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