ヤマタネ、未利用バイオマス活用で記者会見、河原田社長「米は副産物になるかもしれない」

 既報の㈱ヤマタネ(東京都江東区、山﨑元裕会長、河原田岩夫社長)らによる未利用バイオマスの活用事業。4月23日、ヤマタネ、トレ食㈱(福島県南相馬市、沖村智代表)、新みやぎ農協は都内で共同記者会見を開き、新事業の概要と今後の展望について説明した。

左からトレ食 沖村代表、新みやぎ農協 大内組合長、ヤマタネ河原田社長

 この事業は、新みやぎ農協が提供する籾殻を原料に、ヤマタネが設置する新プラントでセルロースを抽出・製品化するもの。トレ食が開発した水熱処理抽出技術を採用しており、薬剤を使わずとも従来方式に比べて10~100倍の処理効率を有するという。年間処理能力は600tを見込み、約240tのセルロースを生成。得られたセルロースは、プラスチック原料として商社・メーカーに販売、初年度売上高は約2億円を見込む。

 プラントは年内に新みやぎ農協管内に設置し、令和8年産米の籾殻から稼働を開始する予定だ。また協定締結にあたり、ヤマタネはトレ食に対し1億円を出資。トレ食は「技術開発・事業展開に向け、さらなる推進力を得た」とし、より一層の処理効率化を図る。
 未利用分の籾殻は、全国で年間45万t程度と想定され、今回のスキームをモデルケースとして、他地域への展開も視野に入れる。

 会見のなかで河原田社長は、これまでの稲作は「米を作っていくらで売るのか――が経済だった」と指摘。今回の事業によって、籾殻に新しい価値を見出すことができれば、「稲作はセルロースを作るもので、米は副産物になるかもしれない」と稲作の一つの将来像を掲げた。また農業の経済的価値が大きくなることで、「農業に興味を持つ人が増え、生産人口を守っていければ」と、産地の持続可能性の向上にも貢献すると強調した。

 新みやぎ農協の大内組合長は、「これまで処理が困難だった籾殻の有効利用は、循環型農業の実現につながる」と期待を示した。従来、家畜の敷料や畑への還元などに限られていた籾殻の用途が大きく拡がることで、地域農業のコスト低減と環境対応にも資すると見る。

 将来的には、セルロースナノファイバーやバイオエタノール原料としての展開も視野に入れ、再生可能エネルギー分野での事業化にも意欲を見せる。未利用バイオマスを多角的に資源化することで、ヤマタネは今後も産地との連携を強化し、農業の収益性向上と環境配慮型社会の実現を両立させるビジネスモデルの構築を目指す。

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